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【空き店舗活用レポート】ブックカフェ「ナワール」――窪田さんインタビュー

2025年10月31日 投稿者:八田さと子

空き店舗を活用した新たな挑戦 ブックカフェ「ナワール」――窪田さんインタビュー

小川町に、ブックカフェが誕生しました。本を片手に、美味しいコーヒーや軽食を楽しめる「ナワール」。この店を立ち上げたのは、子育てをきっかけに暮らす場所、働き方を見つめ直した窪田さんご夫妻です。ご本人に、開店の経緯やお店への想いを伺いました。

店名「ナワール」に込めた意味

佐藤:まず、「ナワール」という名前の由来を教えていただけますか?

窪田:「ナワール」は、メキシコの先住民の言葉で、“言葉では捉えきれない世界”という意味があります。
 近代文明は、言葉や論理、合理性を重視して生活を構築してきましたが、実はその枠組みが私たちを縛り、不自由にしているとも感じます。
 そんな現代社会の中で、視点を少し変えるきっかけになるような本と出合える場所にしたいという想いから、この名前を付けました。恩師の著作に登場する言葉でもあり、個人的にもとても思い入れがあります。

店内には、児童書から自然・平和・生き方に関する本まで、ジャンルを超えて多彩な書籍が並びます。

小川町への移住、そしてこの物件との出会い

佐藤:移住のきっかけや、この物件との出会いについて教えてください。

窪田:以前はテレビ関連の仕事をしていたのですが、退職後、「そろそろ仕事中心の生活は終わりにしてもいいかな」と考えるようになっていました。
 子どもが生まれたこともあり、自然の中で子育てをしたい、子育てを軸に暮らしたいという気持ちが強くなっていたんです。

佐藤:理想の暮らしとして、どんな場所をイメージされていたのでしょうか?

窪田:人間の営みよりも自然の割合が多い場所、ですね。
 以前は逗子に住んでいたのですが、開発が進む中で「人間の割合」がどんどん増えていって、それが少し苦しかったんです。

佐藤:そんな中で、小川町とはどうやって出会ったのですか?

窪田:移住した友人が小川町の魅力をSNSなどで発信していて、それを見て「一度行ってみよう」と思いました。
ネットでたまたまこの物件を見つけて、翌日すぐに内見し、決めました。
 この家のすぐ前には兜川が流れていて、上流は自然豊か、下流は住宅地。ちょうどその境界にあたる立地なんです。

「店舗ありき」ではなかった、新しい暮らし方

佐藤:当初から、カフェとしての営業を考えていたのですか?

窪田:はい。でも、最初は「自宅の一室を使って小さく始められればいい」と考えていました。あくまで生活と子育てが中心で、自然に寄り添う暮らしが第一。畑もやれたらいいなと思っていたくらいです。

佐藤:他の地域も候補にされていたんですか?

窪田:はい、ときがわ町なども検討しました。あちらは移住支援金(当時100万円)があったんです。でも、希望に合う物件が見つからなくて…。そんな中で出会ったのが、今の場所です。

この物件はもともと、近隣に住む大家さんの奥様が営んでいた小料理屋でした。奥様が亡くなられた後、しばらく空き店舗になっていたところを「住居として貸す」として出されていたものです。

改装は最小限。手作りで整えた空間

佐藤:お店としては、どんな改装をされたのでしょう?

窪田:賃貸ですし、将来どうなるか分からないので、できるだけ費用をかけずに整えました。壁の塗り替えもせず、基本的にはそのまま。タバコの汚れが気になるところは落としたり、そこに絵を描いて隠したり(笑)。
 障子をビニールクロスに変えたり、和式トイレに洋式便座を置いたり、断熱用に窓にビニールを貼ったりと、必要最小限の手を加えただけです。

佐藤:作業はどなたかにお願いしたのですか?

窪田:全部ひとりでやりました。唯一、畳だけは業者に頼んで高温殺菌してもらいました。熊谷に対応してくれる業者があって助かりました。

佐藤:キッチンは元々設備があったのですか?

窪田:はい、基本的な設備は整っていました。自分たちでパン焼き用のオーブンを設置したくらいですね。水回りに手をかけずに済んだのは、本当にありがたかったです。

奥様が担当されるキッチンでは、お米のパンを使ったサンドイッチなど、身体にやさしい食事が提供されています。

開店までの歩みと、これからの展望

佐藤:引っ越しからオープンまでは、スムーズでしたか?

窪田:2024年10月に移住したのですが、保育園がすぐに決まらず、改装作業に取りかかれたのは春になってから。2025年6月末にようやくオープンできました。

佐藤:駐車場があるのも魅力ですよね。

窪田:そうですね。ただ、駅からは少し距離があるので、公共交通でのアクセスが課題です。町内にシェアサイクルやレンタサイクルの拠点が増えるといいなと思っています。川沿いの遊歩道やサイクリングロードの整備とあわせて、ぜひ広めてほしいですね。

本と人をつなぐ、共有の場として

佐藤:今後、どのような展開を考えていますか?

窪田:イベントは積極的に開催したいですね。読書会や著者のトークイベント、上映会など。
 10月5日には、音楽デュオ「寿(ことぶき)」のナビーさんによるバリ島トーク会も開催しました。

また、本をもっと手に取りやすくするために、紹介カードを添えたり、貸し出しをもっと開かれた形にして「本のコモンズ(共有地)」のような場にしたいと考えています。自分の本を誰かと共有することで、自分自身の荷物も軽くなりますから。

今は、社会全体が“何を基準に物事を捉えるべきか”が見えにくくなっている時代だと思います。そんな中で、自分なりの「物差し」を見つけられるような、静かな出会いの場になれたら嬉しいですね。

人生に影響を与えた一冊

佐藤:最後に、人生を変えた一冊を教えてください。

窪田:やはり、店名の由来にもなった、真木悠介さんの『気流の鳴る音』ですね。とても深い視点を与えてくれる本なので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいです。

兜川のほとりに佇む、静かなブックカフェ「ナワール」。日常から少し離れて、本と人、自分自身と向き合う時間を過ごしてみませんか?
 遠方からの方は、駅前の観光案内所でレンタサイクルも利用できますので、ぜひ足を運んでみてください。

ブックカフェ ナワール

  • 住所:埼玉県比企郡小川町角山620
  • TEL:090-8287-6746
  • Mail:nahual.bookcafe@gmail.com
  • Instagram:@nahual.bookcafe

※開店日やランチ情報はインスタグラムで随時発信中!


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